*習熟するとは、大本をしっかり根付かせて、次第に四肢末端、目付け、体軸に思いと動作を及ばせるのであるが、いつも新しいままの記憶は無意識で呼び戻すことが出来ない。早く古い記憶とすれば身に付いて、忘れず動作出来る。時を超えて古くする方法は、繰り返し稽古することである。はじめのうちは氣の思いをいちいち呼吸とともに動作することである。両手を使う武技では腹式呼吸が圧倒的に優勢であるが、だからといってそれをはじめから無意識に任せるような稽古は名ばかりの呼吸法となる。
*合氣道は呼吸に伴う弛緩屈曲と緊張伸展により身体を限界まで利用する武道であり、これを禊という動作で現して性命をリセットすることで始まる。精気みなぎる自己の確立は武技の産まれる前にあってこそ勝利するものであり、正勝、吾勝、勝速日を動作と思いで現すことが根本であろう。