2020/7/7のタイトル:魂の比礼振り「18.〝武は愛なり〟を動作に現す」を転載します。
天から受ける魂氣には陰陽・巡り・結びと言う三要素からなる働きがあるものとする。〝魂氣すなわち手〟(『合気神髄』p181)。手を動かすことは魂氣の働きによる。
一方、体幹は軸足に支えられて魄氣の働きで体軸を成し、足底から頂丹田まで垂直に立つ。したがって目付けが水平に定まり最大視野を得る。同時に非軸足が自在に置き換わり、軸足に交代すると体軸移動が安定的に可能となる。
そこで左右の手のうち、体軸に連なる軸足つまり魄氣と結ぶ魂氣が静止の働きに与り、対側の手は非軸足と共に体軸から解かれて、〝魂の比礼振りによって〟(『合気神髄』p92)自由な動きが可能となる。〝魄の世界を魂の比礼振りに直す〟(『合気神髄』p149)、即ち非軸足の置き換えと同時に同側の手は陰陽・巡り・結びの動作で虚空に円を描く。一呼吸で非軸足は再び軸足に交代し、魂氣は丹田に結んで動作を終える。入り身運動の残心である。
相対動作では、互の体軸が接して魄気の結びが成り、互いの手の接点で取りの魂氣が陰から陽へと虚空に円を描くことで魂氣の結びが成り立つ。更に魂氣は受けの真中にひびき、底を抜いて取りの丹田に巡って合気が為される。
円の中心に合気の武技が生まれ、開祖はそれを〝愛〟と呼んでいる。
*母指先の天地・内外への素早い回旋は手首、肘、肩が限りなく滑らかに動くことが必須である。緊張を排し弛緩屈曲によって母指先に任せ切ること、これを脱力という。魂氣の陰陽・巡りの働きを手の動作に現すことと同義である。
*軸足交代が連続動作のうちに曖昧となることを避ける。非軸足の置き換えから魄気の陽で地を踏むが、そこで体軸を確立しなければ、受けの突きに対する剣線を外せない。つまり転換しつつ陰の魄気を確実に動作することであり、鳥船そのものである。
下丹田の魂氣は比礼振り、体軸から解脱。
*後ろ半回転で陰の魄気の非軸足を内股で軸足交代として入り身転換すると、後ろ一回転に相当する。そのさい下丹田の魂氣は陰の陽(小手返しの手)でそのまま下丹田の位置にて再度体軸に与ると同時に非軸足が軸足交代して90度内に転じる。取りの下丹田と共に受けの魄氣(体幹)は180度取りに沿って螺旋で巡る。