〝禊は合気である。合気は禊から始める〟
呼吸とともに天地の気に気結びすることが禊であり呼吸法である。相対動作であれば受けの魂氣と結び、受けの魄気に結び、取りの体軸に巡って呼吸法が完結する。つまり受けが魂氣と魄氣の結びを解き、取りの魂氣が受けの底を抜くと技が生まれる。
互いの中心を繋ぐ剣線を取りが外し、魂氣の円が受けの体軸にひびく瞬間は取りの体軸確立の下に非軸足側の魂氣・手が限界まで働きを現すことが必要である。
体軸の直立を〝吾勝〟、対側の手の軽さは魂の比礼振りに喩えられて〝正勝〟と呼ばれた。その上で左右の魂氣と魄気が一つになって体軸が確立する瞬間は〝勝速日〟と呼ばれる。つまり「入り身一足」の残心の姿に相当して合気の技が生まれているのだ。
剣をとっても、杖を用いても、徒手の捌きにも通底するのが〝正勝吾勝勝速日〟である。そして開祖はそれを〝武産合気〟と呼んだ(『合気神髄』p65)。
〝合気とは筆や口にはつくされず言ぶれせずに悟り行へ〟
また、念を去って皆空の気にかえることを「武道の奥義」と開祖は教示された(同p80)。