開会の辞より
朝から大変な暑さの中、参加して頂きましてありがとうございます。
稽古をすれば余計暑くなる、そもそも涼しいところでずっと休んでおれば良いものを、と言う人も居れば、いや我慢して耐え抜けば一段と心身がたくましくなる、という考えもありましょう。
どちらも当たらないと私は考えます。
開祖植芝盛平翁は、こう教えています。「合気道の極意は、己の邪気を払うことから始める」。そして「すべてを生かし育てる、生成化育の道である」と。
「邪気」とは健康を妨げる原因となるもの全てを言い、そのうち気候に関するものとして、今はまさに暑気、体内に籠る熱気のことです。これを打ち払って「正気」を養うことで、心身を健康に保つことができると考えられてきました。
「邪気」や「正気」という言葉は古いものと考えがちですが、これらは科学における「理論語」に相当します。これに対する「観察語」のみが科学の成果と思われがちですが、「理論語」がなければこれまでの科学の進歩も無かったし、これからの発展もあり得ません。開祖はまさに、「合気道は科学だ」と明言しております。
「邪気」に対して「正気」を蓄える。つまり、筋肉や全身の細胞を活発に働かせ免疫力・抵抗力を維持するわけです。
しかし、この時必然的に体内にも熱が生じます。
いかにして心身の邪気・熱気を払うか。
開祖はさらにこのように教えます。「合気は禊である」と。そしてのちに呼吸法という用語が生まれました。
長く熱気を口から吐き、同時に上肢を弛緩屈曲して体幹に「正気」を取り込む。
そして、鼻から空気を吸いながら魂気を発して相手に与える、気の巡りです。
もちろん、それによってしっかり汗をかいて体から熱が放たれ、水分と塩分を十分補給して体液の巡りを維持する。さらに十分な休息をとる。
つまり、身体中緊張して、呼吸は浅く、痛みや喉の渇きを我慢して、休みを取らないで動けば、合気道の極意の正反対となります。
どうか本日は、暑気払いの合気道稽古会として、開祖の心に触れるような1日にしていただきたいと思います。
真剣に稽古すると同時にそれが愉快でなければ合気道ではない、ということも開祖の言葉です。
特に稽古のそれぞれのペアを組んで、主導的立場になった方々はよろしくご配慮いただきたいと思います。
では、3名の講師の先生から指導をいただきます、第14回大阪府合気道連盟講習会・演武会を開会いたします。