開祖植芝盛平の「気形」とは
開祖は、『合気神髄 合気道開祖・植芝盛平語録』(合気道道主植芝吉祥丸監修 平成2年柏樹社)において、「形」という語句を否定的に24回、肯定的に18回用いている。
前者は、肉体のたましい魄の気力を地から受けた足と体幹に連なる手の動きを表現しているようだ。一方後者は、心のたましい魂の気を思う手によって描かれた円の形に象徴されるものであろう。いずれにしても、規範とされる一定の動作という意味での型ではない。
実際の言葉のうち否定的なものは、〝合気道には形はない〟(p17)、〝魄の世界は有形〟(p102)、〝形より離れたる自在の気なる魂、魂によって魄を動かす〟(p130〜131)などである。
肯定的には、〝どんな形にも身を変えて〟(p15)、〝合気道の稽古はその主となるものは、気形の稽古と鍛錬法である〟(p161)、〝左右の形の結びは天の浮橋をもって左右左せよ〟(p79)。
つまり、魂気を思う心に裏付けられた動作が示す姿を〝気形〟と肯定的に表現しているのであろう。
植芝吉祥丸二代道主の「気形」
また、二代道主は『合氣道』(創始者 道主植芝盛平監修 道場長植芝吉祥丸著 昭和32年光和堂)の中で以下のように説明している。
〝合気道の技法は全く休むことのない異なった気形の連続であるといえる。そこには何等その一つ一つを区切って取り出すことができない程につながっており、在来の形の範囲を出ているものである〟(p75〜76)。
〝気形〟はいずれにしても〝在来の形〟に連なるものではないことがわかる。