*神氣館【 高槻市 天神町道場 】               Shinkikan aikido tenjinmachi-dojo (公財)合気会公認道場                                   Takatsuki-city Osaka JAPAN         大阪府合気道連盟加盟道場                                       開祖植芝盛平の言葉と思いを動作する basic techniques from words and thoughts of the Founder, Morihei Ueshiba        不動の軸足に陰の魂気:〝吾勝〟  非軸足と魂の比礼振り:〝正勝〟        〝この左、右の気結びがはじめ成就すれば、後は自由自在に出来るようになる〟:軸足交代         二つはこんで一と足すすむ・入り身一足と、体軸に与る両手の巡り:〝左右一つに勝速日、業の実を生む〟       〝正勝吾勝〟で剣素振り 合気の剣は〝勝速日〟 〝正勝、吾勝、勝速日とは武産合気ということであります〟                      「魄阿吽の理念力」のタイトルに 1. 合気道指導演武 2025/1/1                       2. 合気道では何故剣素振りを欠かすことができないのか 2025/1/25 「令和7年のおしらせ」に2月の稽古予定                          稽古の記録 2010/8/15〜2025/2/5

合気道が剣素振りを基本動作とする理由

植芝吉祥丸道主の『合氣道』(光和堂)は、〝合気道に対する混乱した概念を改めるよう〟〝極く初心者向きに合気道の何たるかを書いた〟著作である。〝とにかく合気道として世に問うたものは最初のもの〟である、と昭和32年7月に前書きとして記されている。

 

基本動作

そこでは基本動作と基本技法に分けて解説されており、基本動作として、例えば合気道独特の「捌き」「気の流れ」「力の使い方」などを挙げている。

「捌き」には手、足、体の捌きがあり、〝中心の移動により自己の体を捌き、相手を捌いていく〟つまり、〝中心を持って円転滑脱に体を動かしていくこと〟(『合氣道』p93)である。

「気の流れ」とは〝機に応じて〟〝自然に無意識に出てこなくてはならぬ〟〝相手の動きを正しく察知することができる〟〝直覚力〟(同p94)とされている。合氣道の練習においては、前述の捌きとともに重要な一面を担っている、と明言される。

「力の使い方」では、〝自然に、敏活であってしかも素直に、あたかもなだらかな螺旋状円運動のごとき〟(同p99)〝正しい力の入れ方を理解しなければ〟(同p98)ならない、と。

 

呼吸法と禊

次に基本技法として、転換法、基本投げ技、基本固め技、呼吸法の四大部類に分けられた。呼吸法とは、呼吸力養成法であり、気の力のことを呼吸力と呼んでいる。また、呼吸とは、生理的な呼吸にとどまらず〝からだ全体で、天地とともに呼吸することを意味する〟と。そのような呼吸が気力を〝臨機応変たくまずして自然に出し得る〟と説かれている。そして〝自然力の充分なる集中発揮が可能となる〟方法を呼吸法と呼んでいる(同p152)。

〝天地とともに呼吸する〟とは、天の浮橋に立ち(道場に立ち)天地の気に気結びする、と開祖の教えにある、稽古のはじめに行う禊の所作であろう。天から心のたましい魂の気を吸気で掌に受け、地からは肉体のたましい魄の気を足底から腰に受ける。それらは拍手とともに呼気によって下丹田で一つになり、肚ができると思うことにする。開祖は〝立ったならば自分が統一していなければなりません。空気を媒介として統一になるのです。呼吸(いき)です〟(『合気神髄』柏樹社 p101)と言われる。

 

鳥船の足腰

呼吸力を発揮する動作に移ると、まず開祖の鳥船の行である。魂気の珠を包んだ両手が下丹田の両脇に置かれ、右足を軸として直立する体軸を作って〝吾勝〟、左足は非軸足で軽く半歩出して〝正勝〟と呼ぶ(同p6970)。

魂気を包んだ手は母指先で地を指したまま吸気に合わせて前方へ振り出され、同時に軸足を伸展して非軸足は踏みつめ、下腿が直立する。体軸を失って体幹軸が直立し、両足の間に移動する。この姿勢を魄気の陽と呼ぶことにする。

吸気相の終末では静止することなく、つまり息を止めることなく、母指を除く弛緩屈曲した指が下丹田を指して呼気相で巡る。同時に体幹軸も同期して元に戻っていくが、足捌きとしては一旦伸展した足が弛緩屈曲して軸足に戻ることとなる。そこで体軸を再び確立して吾勝となるには、下丹田に巡った魂気が魄気と結ばなければならない。その体捌きは魄気の陰ということになる。陽でホーと振り込み突き、陰でイェイと下丹田に結ぶ。

 

鳥船の手に魂の比礼振りが起こる仕組み

小林裕和師範の鳥船では非軸足側の手はイェイで下丹田に巡るやいなや側腹をすり抜けて軸足の後方へ弛緩して振れる。対側の手もそれに同期して下丹田で魂気を体軸に預けると同時に後方へ自然に振り下ろされる。そこから吸気で前方に魂気を両手で振り込むと、軸足はそれに合わせて伸展され、体捌きと足捌きは魄気の陽となる。つまり、魄気の陰で魂気と魄気の結びにより体軸が確立するのであるが、転換や回転の軸にならなければ必ずしも魂気が丹田・体幹軸に密着し続ける必要はないということだ。

魂気を包んだ両手が下丹田に触れた瞬間すべてを軸足に響かせて体軸とともに地に結んで〝土台となる〟(同p105)。後ろに振れた両手は魄気・体軸から解脱して、〝魂の比礼振り〟(同p108)に喩えられた手であろう。吸気に移行すると魂気を掌に包みながら前方に振り込み突き近似で発するが、母指先は地を指したままであって魂気を空気中に放つことはない。

これも開祖の〝心の持ちよう〟(同p67)であり、動作の成立を裏打ちするのみならず核心を成す思いであると言って良いだろう。

 

単独動作の振りかぶり呼吸法と鳥船

立ち技相対動作の両手取り振りかぶり呼吸法と鳥船は思いと動作が通底するに違いない。魄気の陽で両手刀を差し出し、受けが第一指間で前腕橈側(手刀の峰)を上から押さえ込もうとする。呼気で足捌きと体捌きによって魄気の陰・正勝吾勝とし、両肘頭が下丹田の脇に軽く触れて弾むと同時に両手の回内と母指の反りによる橈屈と背屈で母指先が中丹田から人中を指す。この瞬間、前腕に受ける魄力がすべて項から背、腰仙部を経て軸足の魄気に結んで一体になった、と思うことにする。そのとき尺側前腕から小指球では〝身の軽さを得る〟(同p105)、つまり魂の比礼振りが起こって、掌に天から受ける魂気がそのまま発せられる手刀の刃が生まれる。

手刀の峰には下丹田から母指先を通って背側の体軸に流れる魄気、刃には天から掌に受けた魂気がそのまま小指球を通って刃先から〝蕩々と流れる水の如く断続のない、調子の整った、生き生きした〟(『合氣道』p152)魂気の力が発せられる。単独動作では、はじめ前腕に受けるのは空の気である。

行いは言葉と思いと動作の三位一体であり、思いの裏打ち無き動作、あるいは動作の伴わない思いは行いとはなり得ないことを肝に命ずるべきである。

 

振りかぶり呼吸法と剣素振り

以上の動作で剣を用いれば、入り身一足・勝速日(『合気神髄』p70)で突いて、呼気相の陰の魄気で体軸を吾勝に戻すと同時に手の魂気は肘頭を通して下丹田に巡り、腋が閉じて体軸の魄気と結ぶことで肘頭は体軸から解脱する。正勝である。まさに鳥船と近似するところである。

そこでは手首が軽く回内・橈屈、背屈で身の軽さを得て母指先の反りに合わせて発露する魂気は上丹田に向かい上段に振りかぶる体勢に他ならない。非軸足先と剣先は体軸から解かれて呼気の終末でありながら、魂気の兆が正勝で天を指している。

吸気で母指・示指先に同期して第一指間を通して剣先から前方へ一気に魂気を発し、同時に非軸足先はさらに半歩進めると正面打ち素振りであり、吾勝・正勝つまり魄気の陰を維持する。小林裕和師範の剣振りかぶり面打ち素振りは非軸足を踏み詰めることがない。

さらに、面打ちの素振りから魄気の陽に進めて入り身一足では勝速日となり、初めて合気の剣の残心に繋がる。

 

まとめ 

下丹田での魄気との結びを瞬時に解脱して〝魂気すなわち手〟(『合気神髄』p181)の母指先が、地を指したまま軸足後方に垂れる鳥船と、人中を指して体軸の背面に結んで吾勝に、小指球が正勝で前上方に発せられる振りかぶり呼吸法の近似性をまず認識すべきであろう。

振りかぶり剣素振りと入り身一足の面打ち残心は片手取りや諸手取り呼吸法の原型であり、それゆえに原型たる剣操法でなければ意味が無い。

さて、呼吸法には、剣を上丹田に巡らせて切り返し面打ちとする術技に由来する動作もある。軸足側の手で巡る切り返しは振りかぶりと大きく異なる動作である。それについては稿を改めて論じることとしたい。

                               2025/2/5

 水曜稽古の記録 体軸側の魂氣は陽で発してはならない、吾勝。

        吾勝の魂氣を体外に発しようとすれば魄力になる。

         対側に軸足交代して体軸を解脱すれば自ずと伸展して

        身の軽さを得る、正勝。

  • 禊:天の浮橋に立ち天地の気に気結びする/鳥船、左右左
  • 坐技単独呼吸法:吸気で両手を最大限開いて魂気を天から受け、指先からは下丹田より魂気を発する気持ちで伸ばす①呼気で弛緩しながら腋と肘を閉じて腕を体側に畳んで側頸の高さで手首を掌屈し、次に腋を開いて母指先を側頸に着け、正中胸部を下丹田に降気呼気で弛緩しながら腕を体側に畳んで手首を掌屈し側頸の高さで母指先を前方に向け、吸気で両手をいっぱいに開いて陽の陰で左右から頭上に円を描くと、呼気で下丹田へ陰の陽で巡る③吸気で両手を膝上に陽の陽で置き、呼気で下丹田に陰の陽(小手返しの手)で結び腋を開きつつ側頸まで正中胸部を昇気、側頸から吸気で両手を最大限開いて魂気を天から受け、指先からは下丹田より魂気を発する気持ちで伸ばす、あとは呼気で肘を閉じて母指先を側頸に着け、正中胸部を下丹田に降気④一気に昇気・降気⑤入り身運動⑥振り子運動⑦両手で気の巡り表裏
  • 合気体操
  • 単独基本動作:入り身運動(二教の手、振り込み突き、横面打ち)、中段受け流し突き、下段受け流し転換、上段受け流し返し突き(一教運動裏)、三角法(一教運動表)、振り込み付き呼吸法、振りかぶり呼吸法(鳥船近似/剣素振り近似)、入り身転換・体の変更、体の変更(三面に開いて)・後ろ転換、前方半回転連続、前方一回転、後ろ回転
  • 体の変更(三面に開いて)に続く後ろ転換:外に開いている与えた方の手を陰の陽で尺屈して下丹田に結び、同期して股関節の内旋、足関節の内転で体軸・吾勝を成し、後ろ転換の軸とする。手が鼠蹊部に止まると魂気と魄気の結びが体軸確立までには至らない。
  • 相対基本動作: 二教の手を逆半身で与えて小手返しの手で取らせ二教の手で相半身内入り身で上段に返し突き
  • 相対基本動作:小手返しの手を逆半身で与えて二教の手で取らせ腋を開いて外入り身で軸足交代から転換すると前腕は地に向いて垂れ、受けの前胸部に密着。後ろ転換で非軸足側に交代すると魂の比礼振りが起こり前腕が肘を中心に円を描いて小手返しの手で掌を開き、受けの上丹田に陽の陽で魂気を発する(正勝)、呼吸法
  • 両手取り右手を陽、左手を陰に返して軸とする入り身転換・後ろ転換(上半身転換)で呼吸(法)投げ。入り身一足で勝速日であるが両手は体側・下丹田(腰仙部)ではなく合気体操の二教の運動
  • 諸手取りに手刀を振りかぶり呼吸法から三教表:取りが手刀を陽の陰で受けに与え、諸手で取らす。外転換と同時に地を指している母指先を中心として小指球を下ろして腋を閉じ、軸足側(剣素振りの柄尻側)とする。受けの迫力は取りの肘を経て側腹から軸足の魄気に結び、その瞬間体軸から肘が離れて魂氣は解脱するが、下丹田の前で手根の橈屈、母指の橈側外転で母指先から魂氣が人中に向けて体幹に結び、新たに体軸を作る気の流れを思う。受けの迫力は今や取りの外方へ逸らされ、与えた手は取りの人中の前で肘から手指先が一直線で取りの手背が真中から外方へ向かう。取りの手背と同名側の受けの小指球との間に出来る空隙で、取りは対側の手を用いてそれを三教に包み持って手根を背側すると取りは初めて上丹田で振りかぶる手刀を生み出す。同時に三教で受けの迫力が受けの体幹に逆流すると思えるように体が反りかえり、さらに頂丹田にまで振りかぶると受けは取りの背側に退き、取りが下丹田に振り下ろすと受けは三教で取りの前にまわって伏臥位にて落ちる。
  • 短刀取り三教:正面打ち下ろしに逆半身外入り身で上腕と手首を両手で受け流しから開いて手首を鼠蹊の高さに抑え持ち、対側の足先方向に進めて対側の手で三教に持って振りかぶり相半身外入り身転換で三教、対側の手で下から受けの手背に合わせて包み刃先を受けの腋に向けて体をさらに開くと三教で受けは後方に退き体を反らす。手背から短刀を抜き取り受けの頸部を切り上げ、肘を内から斬り下ろすとうつ伏せで固め、手掌を切り上げて残心
  • 正面打ち一教裏:同時正面打ちに上段受け流しで上丹田に陰の陽の魂氣を結び体軸とし、受け手刀の異名側の手で返し突き外入り身転換にて受けの上腕遠位を降気の魂気で把持して体軸とし、対側は上丹田から陽の陽で開き受けの手刀の尺側手首に接する。その手と同側の足先・正勝を一歩後ろに置き換え(体の変更)、同時に手は陰に返して受けの手首を取り鼠蹊部に結ぶと吾勝。対側の手は受けの上腕と共に伸展され、下丹田に巡って後ろ転換の軸になり、座して一教裏固め。

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