平成30年度三商大合同稽古
2018/10/20〜21
当番校は神戸大学で、久々に参加が可能であった。昭和42年の神戸大・一橋大の初合同稽古と翌年の第一回三商大以後、OBとして初めて参加したのが5〜6年前に神戸が当番のときであった。また、今年7月に三商大合気道50周年行事が東京で行われ、OBを中心とした稽古会も実現した。
今回で、現一橋大の合氣道から当時の有川師範のご指導が鮮明に蘇り、私にとって大変意義深かい稽古会となった。それは、体の変更の軸足交代と体軸移動の仕組みである。当時は特有のお姿を目にし、最近では遺された映像を見ることがあるだけで、全体としては明らかな違いを感じながら核心ははっきりしなかった。
確か有川師範の説明では、鳥船のいわゆる陽で入って入り身や体の変更を行うよう指導されていたようだった。私はそのように解釈していた。特に体の変更と後ろ回転に相当する基本動作が、軸足と体軸の移動に合わせて非軸足が即座に後方へ置き換えられて、そのまま軸足交代と共に体軸移動がおこるあの動作を、今回反復して見取ることができた。
旧合気会本部道場で目の当たりにしたとき(上記昭和42年)丘が動いて受けを押しつぶすような動作である。壮絶な魄力であった。ぞっとするほどのそれが何処から由来する印象なのか。今感じられることを整理したい。
われわれは単独基本動作坐技に入り身運動と振り子運動を伝えているが、正立からは鳥船による魄氣の陰陽と入り身運動、転換・回転のみで、確かに振り子運動としての動作はない。鳥船で軸足と非軸足を確立し、非軸足の置き換えによって軸足交代とともに転換や入り身と体軸移動を可能とするものである。また、非軸足は継ぎ足と引き寄せや踏み換えによって残心や軸足交代における体軸の直立を保つことができる。
一方、一橋の伝統は、両足底が地を踏み、たとえ非軸足(膝)であれ、見た目にも地に接して魄氣を受ける理を崩さない動作と言える。特に、体の変更における非軸足の後方への置き換えと軸足交代は振り子運動の一動作で行えることから、坐技呼吸法の速さに通じるものである。
一言で言えば、立ち技単独基本動作の振り子運動に極意があるのではないか。私の体の変更を言葉と思いで現せば「入り身・継ぎ足・軸足交代で転換・置き換えて陰の魄氣で体の変更・鳥船で陽の魄氣」に対して、「振り子運動で入り身・軸足交代・振り子運動で体の変更・振り子運動で陽の魄氣」であろう。当然、鳥船の魄氣の陰陽は我々の入り身運動に比して振り子運動において為されるはずである。
合同稽古の良さは、一つの動作群の違いを知ることで元をあらたに知ることができるということだ。
2018/10/23