2021年
12月
31日
金
パンデミック2年目の令和3年は、延期された2020オリンピック開催期間を中心として、常軌を逸したインフォデミックの究極が一層活動自粛を強めるという、まさに未曾有の一年であった。全国民が失ったものは計り知れぬほど大きいし、将来にわたっても膨大な損失として尾を引くことであろう。
合氣道の稽古においても、例年の研鑚会や大学のクラブ活動などがことごとく制限、中止され続けた。それでも、感染蔓延に対する厳重な予防策を講じつつ規模を縮小して複数の稽古会が開催され、参加する機会が得られたのは実にありがたいことであった。
神氣館の稽古は事情で二ヶ所とも使用不可となり、市内のスポーツクラブの道場を週二回使用することで稽古量は維持されたが、自粛と所在地の変更が相俟ってほぼ半数の参加に限られたことは残念である。
但し、その中にあって開祖の言葉と動作を引き続き読み解き、剣素振りが開祖の所謂正勝吾勝によって現されることを確信し、さらに徒手で魂氣を与える動作がそこから生まれていることを導いた。つまり、片手取りや正面打ちにおける取りの初動を標準化し、正勝吾勝の不動の体軸を魄気の働きに喩えて陰の魄気とした。さらに、吸気に伴う軸足の伸展と共に体軸を失い、体幹軸の前方への揺れから呼気で陰の魄気に巡る動作として鳥船を把握した。
天の浮橋に立ち天地に気結びすることから始めるという合気は、また禊でもあり、禊は合気である、という開祖の教えから、それまでの稽古の進め方は天地の気に気結びする動作から鳥船へと展開していた。現在では、剣素振りで正勝吾勝、つまり魄気の陰を動作してから、魄気の陰陽である鳥船へと進めている。
その上で体軸の完全な移動を示す転換、入り身、体の変更へと展開する動作が明らかにされてきた。すなわち、前方の足へ体軸が交代しきれない鳥船から、軸足を交代して向きを変える転換と、軸足交代に継ぎ足を伴って一本の軸足として完全に体軸移動する入り身一足の動作が再確認された。
また、入り身の体軸移動を180度の転換で終える入り身転換と、その陰の魄気で非軸足を後方へ一歩置き換えて軸足交代するとともに元の半身、すなわち正勝吾勝に戻る動作を体の変更と明確に定義した。したがって相対動作で入り身転換・体の変更に合わせて受けが取りの前方へ回り込む理合は受けを導く動作と同義になり、その瞬間取りが魄氣を陽に転じて入り身一足の動作から呼吸法の表という新しい技も生まれたのである。
このようにして単独動作における体の変更が鳥船の陽の魄気で終える際の意義を明らかにした。但し、あくまでも体の変更は、正勝吾勝・陰の魄気である。それは、いまだ軸足としてある同側の魂氣は決して陽で発することができないという開祖の所謂自然の法則があるからだ。「空の気を解脱して真空の気に結ぶ」という、言い換えると難場歩きであって、手を存分に働かすという術理である。すなわち、左の魂氣と魄気が結んで体軸移動が確立すれば右の魂氣と魄気は結びが解かれ、空間へと自在に右手で円を描くことができるのであって、つまり左の魄の上に右の魂を置いて自在に魂気で右手を働かせることができるのである。
今、入り身一足で体軸の移動とともに右手は取り自身の右体側や丹田に巡って受けの底を抜き、左右足腰の魄気と結んだ瞬間、取りは技を生んだわけである。これで、開祖の言葉にある、「勝速日の基、左右一つに業の実を生み出します」の動作が入り身一足にまさしく一致することとなる。間をおかず一方の足をその場で軸とすれば正勝吾勝の陰の魄気が成立することから、勝速日は残心の姿に連なる姿勢として差し支えないであろう。
剣の素振りと同義の正勝吾勝から魂気を上/下段に与え、合気の剣を勝速日で動作して徒手で入り身一足・残心を動作する。さらに入り身転換、体の変更、前/後方回転、上段/下段受け流し、突きと正面打ちの捌きを剣から徒手で行う。
以上のように稽古の始めの禊から、単独動作、相対動作へとこれまでの術理を一層補強し、展開を改変した一年であった。
2021年
12月
29日
水
*受けに理合の動作が見られぬ際は魂氣をその場で陽から陰に巡って入り身投げ裏
*残りの前方半回転が後ろ回転の後半を成すその場入り身転換を兼ねていることが術理である。これにより両者の間に位置し、正対しながら双方に表と裏の技を同時に施す結果となる。
2021年
12月
26日
日
*魄氣の陽とは、魄氣の陰から軸足を伸展して体軸が消失し、非軸足は足底で地を踏み下腿を垂直にする。体幹軸は前の足に片寄る。呼気で魂氣とともに魄気は陰に巡り、後ろに軸足が戻り体軸が確立する。
*外転換は受けの背側へ、内転換は腹側へ。外巡り、内巡りは取りの背側、腹側へ。
2021年
12月
22日
水
2021年
12月
19日
日
2021年
12月
16日
木
2021年
12月
12日
日
*静止も運動も姿勢は体軸の直立・軸足交代による二足歩行に限られる。
*吾勝は入り身で軸足交代によって正勝に、地に結ぶ杖尻は杖先になって振り込み突きへ。受けの杖先は取りの吾勝で地に結ぶから、取りの正勝が今や杖先を受けとともに導くことができる。⇨ 杖直突きに相半身入り身・逆半身内入り身転換で四方投げ
*体の変更が生きる動作である。空の気を解脱しなければ魂氣を天に発することができない。つまり、杖先を天に起こすことが初めて出来る。
2021年
12月
08日
水
*この姿勢を陰の魄気と呼ぶことにする。鳥船の行で、呼気に合わせて両手の魂氣を包み、イェイと下丹田の両脇に巡らせて結んだときの右半身の足腰であり、正勝吾勝である。
*剣素振りで右手を伸展すると同時に左軸足を伸展して右足先から足底で地を踏んで下腿を直立する。鳥船における陽の魄気の瞬間であるが左足は地を離れて右足踵に接して地を踏む。両足で一本の軸足を成して体軸に与る。右手はさらに伸展して魂氣は剣先に連なり、左手は腋が閉じて中丹田の高さで前腕が伸展する。これにより右半身で下丹田が内側前下方に向く。腰を切ると称し、足に着目すれば入り身一足となり、正面打ちの成立の瞬間である。しかし静止ではない。勝速日である。即左足に軸足を交代して右足先は地に触れるのみで剣先は上丹田の高さを維持しながら左手は下丹田に巡って結ぶ。ここで静止と同時に右半身の陰の魄気、つまり軸足が確立し、右足は非軸足で右手とともにあらゆる剣操法を可能とする姿勢に戻る。残心である。正勝吾勝である。
すなわち入り身一足は動作の終末であると同時に技の生まれる瞬間・勝速日であり、残心は静止である一方、動作の始まりの瞬間となり得る・正勝吾勝である。
非軸足先を内に向けて軸足交代と同時に半身を転じて振りかぶり、左半身で正面打ち。入り身一足、残心、と正面打ちで入り身(またはその場で)転換反復が続く。
2021年
12月
05日
日
*すなわち入り身一足は動作の終末であると同時に技の生まれる瞬間であり、勝速日に喩えられるが、残心は静止である一方、動作の始まりの瞬間となり得る。
2021年
12月
03日
金
〝正勝〟の千変万化とは非軸足を四方(内外前後)に置き換えることであり、そこで軸足交代して対側の〝吾勝〟の軸足が非軸足となる。その非軸足先も四方へ置き換えられ、次々に軸足交代して〝正勝吾勝〟が左右交代することで魂氣と魄氣が一方では結んで体軸に与り、他方では体軸から解けて尚かつ魂氣と魄氣の結びも解ける。
その結果、いわゆる空の気を解脱した手は魂の比礼振りと呼ばれて、自在に空間へ円を書き、つまり真空の気に結んでから丹田や体側に巡って次の体軸に与る。同側の非軸足先は手とともに四方に向けて置き換えられ、魄氣が丹田へ結んで次の体軸となるが、このとき対側の手は腰仙部に結び、足は継ぎ足として前の軸足の踵に接して二本が一本の軸足となる。すなわち、体軸が移動するとともに、左右の魂氣と魄氣の結びが一つになるのである。開祖はこの瞬間を〝勝速日〟と呼び、業の実が生まれる、と説明された。動作のみで言い現せば、入り身一足で残心の瞬間である。
魄氣の陽は、鳥船において呼気で〝吾勝〟に巡る寸前の姿にすぎない。体軸の確立を伴わないため、合氣の技が生まれることはない。一方、〝勝速日〟とは、鳥船においては現されることがなく、入り身の終末で残心に至る動作を喩えた言葉であろう。
開祖の揮毫にある〝正勝吾勝〟は剣の正面打ち素振りや鳥船、あるいは魂氣を与えて転換に捌くなどの合氣の動作の根元を現すものであり、他方、呼吸法や入り身の残心のごとく体軸を確立して技が生まれる瞬間の〝勝速日〟とは、別けて書に現されたものであろうと考察する。
2021/12/3
2021年
12月
01日
水
・天の浮橋に立たされて ・天地に結ぶ
・合気は禊から始める
・三位の体にて軽く半歩出す
・正勝吾勝で魂気を与える ・剣の素振り
・左右一つに…勝速日 ・入り身一足 ・合気の剣
・陰陽・巡り・結び・転換・体の変更
・空の気を解脱して 真空の気に結ぶ
・魂の比礼振り ・円の動きのめぐりあわせ
・中心は虚空にある ・松竹梅の剣